1.産業廃棄物の処分とは

産業廃棄物の処分とは、主に中間処理最終処分に分けられます。中間処理とは、排出された産業廃棄物がリサイクルならびに埋立処分をしやすくするために選別、減容、減量することであり、最終処分とは、中間処理後の産業廃棄物を再生原料としてリサイクルすることと、リサイクルが不可能なものを埋立てすることに分類されます。

 

処分の種類

中間処理の種類

選別 減容 減量
処理の内容 廃棄物を種類別に分別し、リサイクル可能なものと不可能なものに選別すること。 廃棄物の容積を減らし、リサイクル・最終処分をしやすくすること。 廃棄物の量を減らし、リサイクル・最終処分をしやすくすること。
処理方法 手作業・重機による分別
比重差・風力等による選別
破砕、圧縮、溶融、焼却など 焼却

最終処分(埋立て)の種類

最終処分の内容
安定型埋立 安定型最終処分場は、埋め立て部分の地中空間と、それを隔てる部分に遮水設備(汚水の浸透を防ぐ遮水シート等の設備)がないため、産業廃棄物のうち腐敗することなく、性質が安定している廃プラスチック類、金属くず、ゴムくず、ガラス陶磁器くず、がれき類のみを埋め立てることができます。これらの品目は安定5品目と呼ばれてます。
管理型埋立 管理型最終処分場は、埋め立て部分の地中空間と、それを隔てる部分に遮水設備が設置されているため、性質の安定していない産業廃棄物を埋め立てることができます。ただし、遮断型最終処分場でなければ埋立てできない有害な産業廃棄物を埋め立てることはできません。
遮断型埋立 遮断型最終処分場は、埋め立て部分の地中空間と、それを隔てる部分が鉄筋コンクリートで遮断されており、さらに埋立て上部には屋根が設けられ、有害な産業廃棄物が外に漏れ出さない厳重な構造となってます。従って、管理型最終処分場でも埋め立てることができない有害な産業廃棄物を埋め立てることができます。

このほか、中間処理した廃棄物を製品の原料としてリサイクルする最終処分方法もあります(金属くず等を新たな製鉄の原料とする等)。

2.産業廃棄物処分業とは

産業廃棄物処分業とは、前述した処分方法により、他人が排出した産業廃棄物を処理料金を受領して(業として)処分を行うことを言います。産業廃棄物処理業とは、産業廃棄物収集運搬業と産業廃棄物処分業を総称したものとなります。

3.産業廃棄物処分業許可とは

他人が排出した産業廃棄物を業として処分を行うには、処分業を行う場所を管轄する都道府県知事または政令市長の許可が必要となります。また処分を行う設備によっては、事前に産業廃棄物処理施設設置許可の取得が必要な場合もあり、その場合、設置許可を取得した後に産業廃棄物処分業の許可を申請する必要があります。

産業廃棄物の処分は生活環境に与える影響が大きいため、ほとんどの自治体で産業廃棄物処分業許可申請に先立ち、生活環境への負荷の程度を確認し、近隣住民との合意形成を求める等の「事前協議制度」を設けているところが多いです。

この事前協議の手続きは、処分業を行う計画地が産業廃棄物処理施設の設置が可能な地域かどうか、また様々な法令の規制に抵触しないかどうか、近隣住民との合意形成がどの程度必要か、雨水や汚水の排水が可能かどうか、騒音・振動、ばい煙・粉じんの飛散、悪臭の拡散等の防止対策をどのように行うか等、規制する法令を管轄する自治体の関係各課との調整に多くの時間を要します。

また、近隣住民との合意形成に要する時間は、立地場所によっては過分な時間を要する場合もあるため、事前協議の開始から終了まで、最低でも1年以上の期間を必要とする場合がほとんどです。

さらに、市街化調整区域において産業廃棄物処分業を行う場合、開発行為の許可手続きが必要な場合や、建物を設置する場合は建築基準法の手続きが必要となり、必要な手続きが多ければ多いほど産業廃棄物処分業の許可取得までに多くの時間を要します。

従いまして、産業廃棄物処分業許可申請自体は、それまでの事前協議で事業計画や生活環境保全の内容について十分に協議がし尽くされているため、必要書類を収集し申請書類を作成・提出することにより形式的に審査が行われ、標準処理期間前後で許可が下りることになります。ただし、欠格要件までは事前協議で審査されませんので、最終の許可申請の段階で欠格要件に該当してしまうと、不許可処分となりますので注意が必要です。

標準処理期間とは

標準処理期間とは、許可権者である自治体が、申請書を受理してから許可・不許可の処分を行うまでに要する期間のことで、行政手続法では審査機関である行政庁は標準処理期間を「定めるよう努めるとともに」と努力義務となっておりますが、標準処理期間を定めた場合は、自治体の事務所やホームページ等で「公にしておかなければならない」義務となっております。

4.産業廃棄物処分業許可取得後について

産業廃棄物処分業許可取得後は、排出事業者からの受入れ処分が可能となりますが、それに伴い事前に排出事業者との処理委託契約の締結や、マニフェスト伝票の受け渡し、処理実績報告、場合によっては産業廃棄物管理票交付等状況報告(マニフェスト報告)が必要となる場合もありますので、許可取得後の事業運営についてもあらかじめ計画・準備が必要となります。

また年に1回程度、許可権者である自治体の立入検査が行われる場合があり、許可申請の内容と異なる場所での保管や処理方法を行っている場合、行政指導により是正を求められますので、常に適法な施設運営を行う必要があります。場合によっては、事業停止処分、許可取消処分という大きなペナルティーが課されることもありますので、許可取得後に施設の変更等を行う場合は、あらかじめ行政に確認し、手続きが必要であればその手続きを経た後に変更を行う等、コンプライアンス意識が必要不可欠となります。