産業廃棄物処理施設

産業廃棄物処理施設とは

産業廃棄物処理施設とは、文字通り産業廃棄物を処理する施設であり、主に最終処分の前段階で行う中間処理施設、中間処理後の産業廃棄物をリサイクルまたは埋め立て処分を行う最終処分場に分類されます。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃掃法」と言います。)では、処理能力を基準に設置許可が必要な施設と、処理能力の基準に関わらず無条件で設置許可が必要な施設があります。

設置許可が必要な産業廃棄物処理施設(廃掃法施行令第7条)

※1:ポリ塩化ビフェニル(以下「PCB」)汚染物及びPCB処理物であるものを除く。
※2:海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第三条第十四号の廃油処理施設を除く
※3:廃PCB等を除く
※4:海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律第三条第十四号の廃油処理施設を除く
※5:PCB汚染物及びPCB処理物であるものを除く
※6:事業活動に伴つて生じたものに限る
※7:PCB汚染物に塗布され、染み込み、付着し、又は封入されたPCBを含む
※8:№3、№5、№8及び№12に掲げるものを除く

PCB・ポリ塩化ビフェニルとは

PCB・ポリ塩化ビフェニルとは、耐熱性・不燃性・電気絶縁性に優れ、分解されにくく安定した油状の性状で、主にトランス、コンデンサといった電気機器用の絶縁油として製造・利用されておりました。ところが、PCBが廃棄物になったときに有害性があると判明し、また他の物質で代用が可能であることから、現在は製造が禁止されています。廃棄物の分類としては、特別管理産業廃棄物に分類され、PCBそのものだけではなく、PCBに汚染された廃棄物も特別管理産業廃棄物に当たります。

設置許可が不要な産業廃棄物処理施設について

設置許可が不要な産業廃棄物処理施設とは、上表に記載した産業廃棄物処理施設のうち、無条件で設置許可が必要な処理施設以外のもので、処理能力基準を下回る処理施設と、処理能力の基準に関わらず設置許可が不要な処理施設があります。

処理能力基準に関わらず設置許可が不要な処理施設としては、代表的なものとして主に以下のものがあります。

設置許可が不要な産業廃棄物処理施設(例)

・圧縮施設
・切断施設
・剥離施設
・たい肥化施設
・飼料化施設

条例等により設置許可が必要な産業廃棄物処理施設

処理能力基準を下回り設置許可が不要な産業廃棄物処理施設の中でも、都道府県や市区町村の条例等により設置許可を必要とする処理施設もありますので、廃掃法上では設置許可が不要な処理施設であっても、処理施設の設置を予定している自治体の条例を確認する必要があります。

千葉県の場合、以下の処理施設については「千葉県廃棄物の処理の適正化等に関する条例」の規定により、設置許可が必要となります。

千葉県廃棄物の処理の適正化等に関する条例により設置許可が必要な施設

焼却施設
処理処理能力が1時間あたり50キログラム以上
火床面積が0.5平方メートル以上
火格子面積が0.5平方メートル以上
燃焼室容積が0.7立法メートル以上

破砕施設
処理能力が1日あたり5トン以下

積替保管場
積替保管に供する面積が100平方メートル以上

申請手数料についても、廃棄物処理法上の設置許可申請手数料ほどではありませんが、1施設につき50,000円の申請手数料が必要となります。

産業廃棄物処理施設の設置後について

設置許可が必要となる産業廃棄物処理施設は、処理能力が一定の基準を超えているものが対象となり、それ故に生活環境に与える影響も大きくなります。施設設置に伴う手続きとしても、事前協議はもちろんのこと、生活環境影響調査の実施、施設の処理能力によっては環境アセスメントの実施、建築基準法第51条ただし書きの許可(都市計画区域内)、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、条例等による特定施設の設置届出など、必要な手続きや満たすべき基準が多岐に亘り、それなりの時間と費用が費やされます。

設置許可が必要な産業廃棄物処理施設を設置するメリットとしては、法令による処理能力の上限が制限されないため、大きな受入処理売上が見込めることが最大のメリットとなります。

一方、産業廃棄物処理施設の設置後は、維持管理に係る報告や定期的な検査の受検等、法令に基づく以下の様々な義務が生じます。

 

定期検査制度(廃掃法第15条の2の2)

産業廃棄物処理施設の設置者は、設置許可を受けた産業廃棄物処理施設の中で以下の処理施設については、設置許可申請に係る使用前検査を受けた日、直近において行われた変更許可申請に係る使用前検査を受けた日、または直近において行われた定期検査を受けた日のうち、いずれか遅い日から5年3ヵ月以内に定期検査の申請を行い、許可権者による定期検査を受ける必要があります。

これは、設置許可申請当初に満たしていた産業廃棄物処理施設の技術上の基準を、一定期間を経過した現在においても生活環境保全上の基準が満たされているかどうかを確認するための検査であり、平成23年4月1日施行の改正廃掃法において義務付けられました。

定期検査制度の対象となる産業廃棄物処理施設

①産業廃棄物の焼却施設(法施行令第7条第3号、第5号、第8号、第12号及び第13号の2)
②廃水銀等の硫化施設(法施行令第7条第10号の2)
③廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設(法施行令第7条第11号の2)
④廃PCB等又はPCB処理物の分解施設及びPCB汚染物又はPCB処理物の洗浄施設又は分離施設(法施行令第7条第12号の2及び第13号)
⑤産業廃棄物の最終処分場(法施行令第7条第14号)

(補足)休止中の施設や最終処分場も検査対象となります。

 

産業廃棄物処理施設の維持管理(廃掃法第15条の2の3第1項)

産業廃棄物処理施設の設置者は、前述した産業廃棄物処理施設の技術上の基準のほか、産業廃棄物処理施設の維持管理の技術上の基準を満たすため、定期的な放流水の水質検査や、施設の維持管理に関する点検、検査等の記録を作成し、3年間保存するほか、産業廃棄物処理施設の種類に応じた維持管理の技術上の基準を満たす必要があります。

維持管理の技術上の基準の例(焼却施設の場合(一部抜粋))

①燃焼室中の燃焼ガスの温度を連続的に測定し、かつ、記録すること。
②集じん器に流入する燃焼ガスの温度を連続的に測定し、かつ、記録すること。
③冷却設備及び排ガス処理設備にたい積したばいじんを除去すること。
④煙突から排出される排ガス中の一酸化炭素濃度を連続的に測定し、かつ、記録すること。
⑤煙突から排出される排ガス中のダイオキシン類の濃度を毎年一回以上、ばい煙量又はばい煙濃度(硫黄酸化物、ばいじん、塩化水素及び窒素酸化物に係るものに限る。)を6ヵ月に一回以上測定し、かつ、記録すること。
⑥ばいじん又は焼却灰の焼成を行う場合にあっては、焼成炉中の温度を摂氏1000度以上に保つとともに、焼成炉中の温度を連続的に測定し、かつ、記録すること。

 

産業廃棄物処理施設の維持管理の状況に関する情報の公表(廃掃法第15条の2の3第2項)

産業廃棄物処理施設の設置者(定期検査対象施設に限る)は、産業廃棄物処理施設の維持管理の状況に関する情報を、インターネットなどで公表する必要があります。

公表すべき維持管理に関する情報の例(焼却施設の場合)

・処分した産業廃棄物の各月ごとの種類及び数量
・維持管理の技術上の基準の例①②④⑥の測定に関する次に掲げる事項
当該測定を行った位置
当該測定の結果に得られた年月日
当該測定の結果
・維持管理の技術上の基準の例③のばいじんの除去を行った年月日
・維持管理の技術上の基準の例⑤に関する次に掲げる事項
当該測定に係る排ガスを採取した位置
当該測定に係る排ガスを採取した年月日
当該測定の結果の得られた年月日
当該測定の結果

2022-12-18