目次
事前協議および事前協議の流れ
自治体への事前相談
都市計画法上の用途地域や地目の確認を行い、計画地を都市計画図・白図上に落とし込み、周辺施設の状況等についてもある程度把握ができたら、その図面等を持参して計画地を管轄する自治体の窓口へ必要な手続きの相談に行きます。
相談窓口は、都道府県庁または都道府県知事から許可権限の委譲を受けた政令市や中核市等の、産業廃棄物処理業の許可事務を担当する廃棄物指導課等の部署になります。相談は事前に電話等で概要を説明し、あらかじめ日時を決めてから相談に行くとスムーズです。
相談の際に持参する書類等
- 位置図(1/10000程度のもの)
- 見取図(1/2500程度のもの)
- 都市計画図(1/10000程度のもの)
- 土地謄本(所有権が確認できるもの)
- 地積測量図(公簿面積が確認できるもの)
- 事業計画概要書(処理方法、処理施設の種類、処理能力、取り扱う産業廃棄物の種類など)
事前協議
「千葉県廃棄物処理施設の設置及び維持管理に関する指導要綱」(以下「指導要綱」といいます。)では、その目的について「事業者等が廃棄物処理施設の設置及び維持管理を行う場合に、県が事業者等に対し、公害防止、災害防止等のための必要な指導を行うことにより、生活環境の保全及び廃棄物の適正処理の推進を図ることを目的とする」と謳われており、その目的を達成するための具体的な手続きとして「事前協議」というものを定めております。
もう少しわかりやすく言うと、産業廃棄物処理施設の設置は、産業廃棄物収集運搬業(積替保管なし)の許可申請のように、廃掃法の要件を満たして申請すれば許可が取得できるという性質のものとは異なり、生活環境に与える影響(ばい煙、粉じん、騒音・振動、悪臭、水質等)が大きく、廃掃法以外の法令の規制を受ける場合が多いため、あらかじめ他法令も含めた規制や諸手続きの確認、処理施設の設置に伴い生活環境の影響を受けやすい近隣住民との合意形成を事前に行い、その後の手続きである産業廃棄物処理施設設置許可申請、産業廃棄物処分業許可申請をスムーズに行うための手続きであり、事業者側にとっても自治体側にとってもメリットのあるものとなっております。一方、デメリットとしては、許可取得までに要する期間が長期間に及ぶことなどが考えられます。
窓口での相談では、事前協議に必要な書類や確認事項等について、事前協議の手引や指導要綱、事前協議書様式の案内があります。自治体によっては、手引きや指導要綱、事前協議書の様式をホームページからダウンロードすることもできますので、窓口に相談に行く前にホームページを確認することをお勧めいたします。
ここでは、千葉県における中間処理施設の事前協議手続きについてご説明いたします。
事前協議の流れ
指導要綱は、事前協議手続きの具体的な内容が示された①本文、②廃棄物処理施設の立地等に関する基準、③廃棄物処理施設の構造に関する基準、④廃棄物処理施設の維持管理に関する基準、⑤環境調査指針で構成されております。
事前協議手続きの流れは以下のフロー図のご参照ください。事前協議手続き終了後に廃掃法に基づく設置許可申請、処分業許可申請を行う流れになります。
事前協議書の作成
事前協議書は、指導要綱「別記第1号様式」を用いて①施設計画書、②処理計画、③計画地等一覧表、④構造及び維持管理の概要について作成します。
①施設計画書(別記第1号様式)
施設計画書には、事業者(計画者)の概要、基本計画、事業範囲について記載します。
②処理計画(別記第1号様式)
処理計画には、廃棄物の受入れの方法、処理又は再生利用の方法、処理後の残渣物の処分方法、添付する図面等について記載します。
③計画地等一覧表(別記第1号様式)
計画地等一覧表には、施設計画地及び隣接地にいての住所・地番、所有者、使用者、地目、都市計画法上の区分又は用途地域、その他の法令の指定の有無について記載し、計画地及び隣接地内の公有財産(自治体等が所有する土地や道路など)の有無について記載します。
④構造及び維持管理の概要(別記第1号様式)
構造及び維持管理の概要には、指導要綱の「廃棄物処理施設の構造に関する基準」、「廃棄物処理施設の維持管理に関する基準」に記載されている基準を満たすために、どのような対策を講じるかを記載します。
事前協議書添付書類
事前協議書の添付書類として以下の書類の添付が必要となります。
事前協議書添付書類
- 事業計画書(参考様式あり)
- 処理工程図(処理フロー図)、排水経路図
- 施設一覧表
- 場内施設配置図
- 施設処理能力計算書(施設ごと)
- 環境調査報告書(別記第2号様式)
- 位置図(縮尺25,000分の1)
- 付近の見取図(縮尺2,500分の1、周囲の民家等の状況のわかるもの)
- 廃棄物処理施設の計画概要図(平面図、立面図、側面図、構造図、断面図、その他)
- 公図の写し(縮尺600分の1)
- 都市計画図
- 土地利用現況図(縮尺2,500分の1)
- その他事前協議書中「構造及び維持管理の概要」等で別紙に記載することとしたもの
- 会社の登記事項証明書(3ヵ月以内のもの)
- 印鑑証明書(3ヵ月以内のもの)
- 土地使用権原を確認する書類(計画地の土地の登記事項証明書等、3ヵ月以内のもの)
- 施設設置等に要する資金の総額及びその資金の調達方法を記載した書類(参考様式あり)
- 事前申出終了がわかる書類(一般廃棄物処理施設のみ)
- 法第8条第3項及び第15条第3項で規定する生活環境影響調査書の調査の計画(方法)を記載した書類(法第8条及び第15条に規定する廃棄物処理施設)
- 事前協議の省略理由を示す図書(省略事由に該当する場合のみ)
- 取得許可等確認書(指定様式あり)
環境調査報告書(別記第2号様式)
環境調査報告書には、指導要綱の「環境調査指針」に記載されいている指針に基づき、計画地及びその周辺の環境等について確認した内容を記載します。
また、計画地及び計画地周辺について、関係法令の指定状況として以下の法令の規制状況を確認した結果について記載いたします。
確認の方法としては、関係法令を所管する部署、市町村等に電話または訪問し、事前相談の際に持参した書類等を提示して確認するとスムーズです。なお、訪問する際はあらかじめ電話にて日時等を決めてから訪問するのが良いでしょう。
関係法令の指定状況
- 公園法・条例
(計画地に自然公園特別地域、自然公園が含まれていなないか) - 自然環境保全法・条例
(計画地に自然環境保全地域特別地区、自然環境保全地域の普通地域(区)、特定植物群落が含まれていないか) - 鳥獣保護及び狩猟に関する法律
(計画地に鳥獣保護特別保護区、鳥獣保護区が含まれていないか) - 首都圏近郊緑地保全法
(計画地に首都圏近郊緑地保全区域特別保全地区、首都圏近郊緑地保全区域が含まれていなか) - 都市緑地法
(計画地に緑地保全地域、郷土又は緑地環境保全地域が含まれていないか) - 森林法
(計画地に保安林、保安林予定森林が含まれていないか) - 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律
(計画地に急傾斜地崩壊危険区域が含まれていないか) - 砂防法
(計画地に砂防指定地が含まれていないか) - 河川法
(計画地に河川区域又は河川保全区域が含まれていないか) - 地すべり等防止法
(計画地に地すべり防止区域が含まれていないか) - 農地法
(計画地に農地が含まれていないか) - 農業振興地域の整備に関する法律
(計画地に優良農地として保全を図る必要のある場所が含まれていないか) - 海岸法
(計画地に海岸保全区域が含まれていないか) - 都市計画法
(計画地に風致地区が含まれていないか、他) - 建築基準法
(建築物の設置を伴うか、建築基準法第51条ただし書きの許可が必要か) - 公害関係法令
(ばい煙、粉じん、騒音、振動、悪臭、水質等に関する規制、市町村条例等含む)
市町村への意見照会および現地確認
事前協議書提出後、計画地が所在する市町村へ事前協議書の内容について県から意見照会(意見聴取)が行われます。市町村への意見照会の内容は以下のとおりです。
意見照会の内容
- 市町村等の土地利用計画及び環境保全に関する計画への適合状況
- 地域の環境保全上の留意点
- 市町村の事務に係る手続き等
それと並行して、計画地における現地確認が行われます。これは、計画地および周辺環境について事前協議書に記載された内容や図面と合致しているかどうか、また審査指示事項に含めるべき内容について確認が行われます。
現地確認の日時については、あらかじめ県の担当部署より2~3日程度の候補日時が提示されますので、双方の日程を調整して現地確認日時を決めます。
現地確認には県の担当者、計画地を管轄する県の出先機関の担当者、計画地が所在する市町村の担当者からそれぞれ数名、合計6名前後で行われることが多いです。
現地確認のポイントは以下のとおりです。
現地確認のポイント
- 隣接地・導水路等との敷地境界の状況
- 搬入道路の道路幅員、舗装の状況
- 排水先の下水、水路等の状況
- 計画地周辺の状況(隣接地、住居等)
廃棄物処理施設設置等事前協議会
廃棄物処理施設設置等事前協議会(以下「事前協議会」と言います)とは、千葉県庁内の約30の関連各部署で構成された組織で、事業者から提出された事前協議書をもとに、所管する法令の規制に該当の有無、必要な手続き等の有無について確認し、必要に応じて指示がなされます。
審査指示事項
事前協議会での審査の後に示される指示が「審査指示」というもので、関連各部署から窓口である廃棄物指導課等に提出され、それらをまとめたものを「審査指示事項」として事業者に提示されます。
審査指示事項に併せて、事前協議の内容である廃棄物処理施設設置計画を周知させることが適当と認められる地域、いわゆる「住民説明会の対象範囲」が示されます。
住民説明会の対象範囲は、最終処分場以外の計画にあっては、計画地区域からおおむね200メートル以内の地域および搬入道路の沿道となります。