市街化調整区域について

市街化調整区域は、先に述べた通り市街化を抑制する区域のため、原則として建築物を作ることはできません。また、市街地から離れた農山村地域にあることが多いため、給水や下水排水等のインフラが未整備のところが多い地域であることはもとより、接道する道路も道幅が狭かったりするところが少なくありません。それがゆえに、建築物を伴わない資材置き場や駐車場としての利用や、近年では太陽光パネルを設置し、太陽光発電施設の用途として利用されるケースも多くなってます。

市街化調整区域は、建築物の規制やインフラが未整備のところが多かったりなど、土地としての利用価値が高くないため、土地の価格は一般的に安くなります。

一方、給排水等のインフラが整備され、接道する道路幅員も大型自動車が余裕をもってすれ違いができる程度に広かったり、また近隣には住宅や学校、保育園、老人福祉施設がないなど、工場等を誘致するために設けられた「工業専用地域」は、土地の価格は高い傾向にあります。

処理施設の計画地が市街化調整区域の場合

市街化調整区域に所在する土地は、他の用途地域が定められている土地と比較して、原則として建築物および工作物の設置が不可能な土地であるがゆえに、土地代が安く購入しやすい土地であることは魅力的ですが、土地として利用可能な内容が大きく制限されてしまうため、産業廃棄物処理施設等の設置が簡単ではない土地であるとも言えます。

逆に上下水道や雨水排水先等のインフラが整備された工業専用地域などは、土地代は安くはありませんが、産業廃棄物処理施設等の工場の立地には適している土地であり、様々な法令要件を満たすことも比較的容易であると言えます。

○市街化調整区域と工業専用地域の比較

市街化調整区域における建築物の設置について

市街化調整区域では、原則として建築物を設置することはできませんが、都道府県等によっては開発許可を取得することにより建築物を設置することが可能な場合もあります。

千葉県の場合、がれき又は木くずの破砕施設(処理能力5t/日以上)を市街化調整区域に設置する場合、必要な要件をすべて満たし、開発審査会にて認められた場合、破砕施設を覆う建屋や必要最小限度の管理事務所を設置することが可能です。

コンクリート廃材リサイクルプラントを建設する目的で行う開発行為
(都市計画法第34条第14号 千葉県開発審査会提案基準№25)

次の①及び②に掲げるコンクリート廃材リサイクルプラントで、「千葉県廃棄物処理施設の設置及び維持管理に関する指導要綱」に基づく事前協議終了通知がなされたもので、確実に許可される見込みがある次の(1)から(10)に掲げるすべての事項に該当するもの。

  • ① 都市計画法施行令第 1 条第 1 項第 2 号に規定するクラッシャープラントのうち、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和 46 年政令第 300 号)第 2 条第 9 号に規定するコンクリートの破片その他これに類する不要物を破砕し再生処理するもの(木くず又はがれき類の破砕施設)。
  • ② ①を建築物で覆った工場
  1. 当該施設が立地する市町村の土地利用計画及び環境対策等の観点から支障がないものとして、当該市町村長の承認が得られるものであること。
  2. 「千葉県廃棄物処理施設の設置及び維持管理に関する指導要綱」に適合しているものであること。
  3. 許可申請地は、原則として自己所有地であること。なお、借地の場合は、借地契約が長期・安定的なものとなっていること。
  4. 許可申請地周辺の住民と十分な協議が行われたものであること。
  5. 予定工作物の敷地は幅員 6 メートル以上の国・県道等に接していること。なお、地形等によりやむを得ず敷地延長で計画する場合、その延長は 25 メートルを限度とし、その幅員は6 メートル以上とすること。
  6. 予定工作物の敷地の面積は、原則として5,000 平方メートル以上で、環境対策としての外周部緑化、駐車場、積換保管場所等を考慮し、適正なものであること。
  7. 環境対策としての外周部緑化については、幅員 10 メートル以上の残地森林又は造成森林が適正に配置されていること。
  8. 既存のコンクリートプラントに併設してクラッシャープラントを建設する場合も本取扱いを準用する。この場合、事業区域全体について環境対策を行うこと。
  9. 付帯施設としての管理事務所の規模は維持管理上から必要とされる最小限度とすること。
  10. 許可申請地は、原則として農業振興地域の整備に関する法律第 8 条第 2 項第 1 号に規定する農用地区域並びに森林法第 25 条及び同法第 25 条の 2 に規定する保安林を含まないこと。

地目について

もう一つ確認するべき項目として「地目」があります。地目とは、土地の主な用途のことを言い、法務局の登記官が土地の現況及び利用目的をもとに判断し、登記が行われます。
地目は、法務局にて土地謄本を取得することにより確認することができます。

この地目が「田」や「畑」と記載されているものは「農地」と呼ばれ、農地法第5条の規定に基づく農地の転用許可を経ずに産業廃棄物処理施設用地として使用することはできません。さらに、この農地が農業振興地域の整備に関する法律の規定に基づく「農用地」に指定されている場合、農業振興地域整備計画の変更手続き(農振除外)を農地転用許可申請の前に行う必要があります。

農振除外とは

農振除外とは、農業振興地域整備計画の変更手続きの通称のことで、利用が規制されている農用地区域内の農地を住宅等の用地として利用したい場合に行います。農振除外を行いたい場合、事業を行う方が市区町村へ除外の申出をし、市区町村が整備計画の変更について都道府県や関係団体等と調整・協議を行い、都道府県の同意を得られた場合のみ除外(整備計画の変更)が認められ、農地転用の手続きが可能となります(農振法第 8 条第 4 項)ので、申出をすれば必ず除外されるとは限りません