廃棄物処理施設の立地等に関する基準
(中間処理施設)

これまで事前協議手続きの流れについて一通り概要をご説明いたしましたが、「事前協議①」にて触れました、②廃棄物処理施設の立地等に関する基準、③廃棄物処理施設の構造に関する基準、④廃棄物処理施設の維持管理に関する基準、⑤環境調査指針の各基準について、それぞれ詳しく見ていきたいと思います。

1.立地環境

指導要綱では、自然環境の保全、危険区域における設置の禁止、生活環境への影響の抑制を目的として、処理施設の立地環境について以下の基準を定めております。

 

(1)処理施設を設置する計画地において、事前協議書提出時に以下の条件を満たす必要があります。

生活環境の負荷の影響を受けやすい公共施設等からの距離や区域への制限

  1. 学校、保育所、病院、診療所、図書館又は特別養護老人ホームに係る土地の敷地境界からの距離は、おおむね100m以上であること。
  2. 宅地の開発予定地を含まないこと。
  3. 土地区画整理事業の予定区域を原則として含まないこと。

この基準は、処理施設の設置に伴い排出されるばい煙、粉じん、騒音・振動等の、生活環境に与える負荷の影響をより顕著に受けやすい対象施設として、学校、保育所、病院、老人福祉施設等の公共施設から一定の距離が離れていることや、これから住宅地として宅地分譲等が予定されている土地、土地区画整理事業により道路や公共施設が整備される区域を含まないことを求めております。

 

(2)処理施設を設置する計画地において、次に掲げる自然環境及び災害防止等のために保全を図る必要のある場所に該当していないことが求められます。

自然環境及び災害防止等のために保全を図る必要のある場所の制限

  1. 自然公園特別地域
  2. 自然環境保全地域特別地区
  3. 鳥獣特別保護区
  4. 緑地保全地域
  5. 首都圏近郊緑地保全区域特別保全地区
  6. 風致地区
  7. 保安林、保安林予定森林
  8. 急傾斜地崩壊危険区域
  9. 砂防指定地
  10. 地すべり防止区域
  11. 海岸保全区域

 

(3)処理施設を設置する計画地において、次の場所を原則として含まないことが求められます。

自然環境の保全およびその他の区域への制限

  1. 自然公園又は自然環境保全地域の普通地域(区)
  2. 郷土又は緑地環境保全地域
  3. 鳥獣保護区
  4. 首都圏近郊緑地保全区域
  5. 特定植物群落
  6. 都市計画資施設又はこれ以外の公共施設として、将来土地利用計画がある区域又は場所
  7. 当該区域が、建築物または第一種特定工作物に該当する場合にあっては、市街化調整区域
  8. 文化財保護を図る必要のある場所
  9. 優良農地として保全を図る必要のある場所
  10. その他知事が廃棄物の中間処理施設又は産業廃棄物の再生利用施設に係る土地として、不適当と認める場所

この基準は、法令等で自然環境が保全されている区域災害が発生する可能性が高い区域文化財として保護が必要な区域優良耕作地として保全が必要な農用地等について、処理施設の予定地がその区域を含まないことを求めております。

なお、「(3)」については原則規定であり、必要な手続き等を行うことにより立地が可能となる場合があります。

 

(4)処理施設を設置する計画地までの使用道路について、以下の条件を満たす必要があります。

使用道路に関する基準

  1. 使用道路の幅員は、搬入車両の通行に支障がなく、必要に応じて車両の待避所が設けられること。
  2. その他必要に応じて、関係機関の指導を受け、使用道路の選定、拡幅若しくは補修及び安全施設等の整備を行えること。

この基準は、一般的に処理施設への搬出入車両は大型車やダンプ・トラック等の出入りが多く、交通渋滞や交通事故防止のために必要な道路幅員又は待避所が設けられていることや、必要に応じて使用道路の選定、道路幅員の拡張および補修、歩行者が安全に通行できる歩道、ガードレール等の安全施設等の整備を求めております。

 

2.土地の使用権原等

処理施設の計画地における土地使用権原等について、次の承諾が得られることが必要となります。

土地使用権限等

  1. 中間処理施設又は再生利用施設に係る予定の土地を使用する権原が得られ、かつ、取り扱う廃棄物の種類、中間処理方法、再生利用方法その他必要な事項について土地所有者の承諾が得られること
  2. 中間処理施設又は再生利用施設に係る予定の土地までの搬入道路の管理者から、廃棄物の運搬に伴う車両の通行について、承諾が得られること

廃棄物処理施設は生活環境に与える影響が大きく、処理施設の計画地を借地として使用する場合、土地所有者からの理解が得られない場合が少なくないため、あらかじめ土地所有者から廃棄物処理施設用地として使用すること、ならびに搬出入道路を使用することによる道路管理者からの承諾を得ていることを確認し、トラブルを未然に防ぐことを求めております。

 

3 その他の基準

その他の基準として、処理施設の立地に係る必要な指示事項に対応できることを求めております。

その他の基準

  • 中間処理施設又は再生利用施設の立地等について、必要なことについて指示された場合には、これらを満足させることができること。

 

 

次のページでは、構造基準について見ていきたいと思います。