ディーゼル規制、土砂等禁止車両

ディーゼル規制

ディーゼル規制とは、主に首都圏を通行する軽油を燃料とするディーゼルエンジン車両について、排気ガスが規制基準に満たない車両の運行を禁止する都県条例で、それぞれの自治体により規制基準も多少異なっております。この規制基準に満たない車両を産業廃棄物収集運搬車両として登録するには、あらかじめ粒子状物質減少装置等を装着し、その装着証明書を許可申請書に添付しなければ、その車両については登録が認めてもらえない状況となってます。なお、廃棄物処理法にはディーゼル規制対象車種の登録は認めないとの法令要件はなく、行政内の運用上のルールと思われます。

粒子状物質

粒子状物質(Particulate Matter 、通称「PM」)とは、大気中に浮遊している固体または液体の微細な物質のことであり、PMのうち、粒径10μm以下のものをSPM(Suspended Particulate Matter)といい、最近では粒径2.5μm以下の「PM2.5」が注目されています。
浮遊粒子状物質(SPM)のなかでも、ディーゼル車の排出ガスに含まれる粒子は、以前から発がん性が疑われているほか、最近では花粉症との関連が心配されているという情報もあります。
イメージとしては、ディーゼル車から排出される黒煙状の排気ガスを、フィルター等で捕集した際に付着した煤(すす)のことです。

首都圏では、東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県の全域において平成15年10月1日より条例が施行され、ディーゼル車の排出ガス規制が実施されています。なお、東京都と埼玉県においては、平成18年4月1日から2段階目の規制が実施されてます。各自治体におけるディーゼル規制の内容について詳しく見ていきましょう。

首都圏各自治体におけるディーゼル規制

東京都のディーゼル規制

東京都では、「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」で定める粒子状物質排出基準を満たさないディーゼル車(乗用車を除く)は、東京都内での走行が禁止されています(島しょ地域を除く)。

千葉県のディーゼル規制

千葉県では、「千葉県ディーゼル自動車から排出される粒子状物質の排出の抑制に関する条例」の中で、条例で定める粒子状物質(PM)排出基準を満たさないディーゼル自動車(乗用車除く)は、県内全域での運行が禁止されています。

神奈川県のディーゼル規制

神奈川県では、「神奈川県生活環境の保全等に関する条例」の中で「粒子状物質の排出基準」を満たさない旧式ディーゼル車の県内全域での運行が禁止されています。

埼玉県のディーゼル規制

埼玉県では、「埼玉県生活環境保全条例」の中で、県の粒子状物質排出基準を満たさないディーゼル車は県内全域で運行が禁止されています。

 

規制の対象となる車種

規制の対象となる車種はディーゼル車で、自動車検査証(車検証)の燃料の種類欄に「軽油」と記載されている自動車です。ただし、乗用車は規制の対象外です。

規制の対象となる型式

規制の対象となる型式については自治体により多少異なっており、具体的には以下のとおりです。

※③の車両については、一部基準に適合している車両があります。詳細については、メーカー(ディーラー)または各自治体にお問い合わせください。
※①、②に該当する規制の対象型式であっても、九都県市の指定した粒子状物質減少装置を装着すれば規制区域内の走行は可能です。

粒子状物質減少装置

粒子状物質減少装置とは、ディーゼル自動車の排気ガスに含まれる目に見えない粒子状の物質(煤)を除去させる装置のことで、「DPF (Diesel Particulate Filter)」と「酸化触媒」があります。

DPF (Diesel Particulate Filter)

DPFは、ディーゼル・パティキュレート・フィルター(Diesel Particulate Filter)の略で、ディーゼルエンジンの排出ガスに含まれる粒子状物質や黒煙を排気管に装着したフィルターで捕集し除去する装置です。

酸化触媒

酸化触媒は、白金などの触媒による酸化作用で粒子状物質を減少させる装置であり、粒子状物質の減少性能はDPFよりも低いものの、一酸化炭素及び炭化水素を大幅に減少させるとともに、ディーゼル車特有の排気ガス臭を低減させることができます。

指定粒子状物質減少装置について

粒子状物質減少装置については、九都県市(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市、相模原市)で指定されています。指定された粒子状物質減少装置の一覧は「九都県市あおぞらネットワーク」のwebサイトで公開されております。
ディーゼル規制については約20年前に施行された条例であり、当時の規制対象となるディーゼル車両も年を追うごとに少なくなってきてます。また、新車についてはほとんどがディーゼル規制適合車種となってますが、ディーゼル規制対象車種もまだまだ中古市場に出回っている現状があります。産業廃棄物収集運搬車両として中古のトラックを購入するに当たっては、ディーゼル規制適合車種を購入するに越したことはありませんが、ディーゼル規制対象車種を購入する場合には、粒子状物質減少装置を装着する費用と時間も考慮したうえで、ディーゼル規制適合車種とのイニシャルコストを比較し、購入することをお勧めいたします。

土砂等運搬禁止車両

土砂等運搬禁止車とは、土砂等の運搬が禁止されているダンプカーのことを言います。通称「土砂禁ダンプ」、「深ダンプ」とも呼ばれ、通常のダンプカーよりも「あおり」(トラックの荷台を覆う囲い)が高いため荷台の底が深くなっており、重量の軽い廃棄物の運搬等に適したダンプカーです。土砂禁ダンプは、車検証の備考欄に「積載物は、土砂等以外のものとする。」と記載されます。土砂禁ダンプがなぜ土砂等の運搬が禁止されているかというと、通常のダンプと比較して容量をより多く積むことができるため、比重の重い土砂等を積むと過積載となる可能性が高くなるという理由からです。

この土砂禁ダンプを産業廃棄物収集運搬車両として登録する場合、ほとんどの自治体において以下の品目の運搬が認められません。

土砂等禁止車両で運搬できない産業廃棄物の種類

  • 汚泥
  • ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
  • 鉱さい
  • がれき類

※根拠法令:土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法

建設系廃棄物の収集運搬を行う事業者にとって、上記品目が運べないのは死活問題であり、特に汚泥・がれき類は、産業廃棄物の排出量の中でもトップ3に入る品目のため、車両を購入した後に土砂禁ダンプであったと知った場合、上記品目を運ぶことができず大きな損失につながってしまいます。産業廃棄物の収集運搬を事業として行うに当たり、車両の選定は運搬する予定の産業廃棄物が運搬できる車両かどうか、必ず確認しましょう。