3.許可申請書の作成 その1

許可申請書の作成は難しいものではなく、誰でも作成することができますが、作成方法について多少細かいルールや見落としがちな部分があったり、また添付書類については許可権者ごとに異なったりする場合があり、意外と手間がかかったりします。ここでは細かいミスをできるだけ少なくするために、申請書の作成方法のポイントについて詳しく見ていきましょう。

様式第6号 第1面

産業廃棄物収集運搬業許可申請書は、廃棄物処理法で定められた「様式第6号」という書式を使用し作成いたします。書式は、一般的に許可権者である自治体のホームページからワードデータをダウンロードすることができます。

①申請者の住所、氏名、電話番号

申請者の住所、氏名、(法人の場合は、法人名称と代表者の氏名)、電話番号を記載いたします。この場合、個人の場合は住民票に記載されたとおりに、法人の場合は履歴事項全部証明書に記載された通りに〇〇丁目〇〇番地〇〇号と記載しないと、修正が指示されますのでご注意ください。

× 千葉県千葉市中央区市場町1-1
〇 千葉県千葉市中央区市場町一丁目1番

かくいう私も、駆け出しのころに一番最初に受けた指摘がこの部分でした。

②事業の範囲(取り扱う産業廃棄物の種類)

ここには、事業計画に記載した事業活動により排出される産業廃棄物を運搬する、産業廃棄物の種類(以下「許可品目」といいます)を記載します。例えば、住宅やビル等の建築物を解体する解体事業者であれば、建設工事に伴い排出される廃プラスチック類、紙くず、木くず、繊維くず、金属くず、ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず、がれき類が代表的な許可品目となります。

ここで注意が必要なのは、品目の中でも収集運搬を行うに当たり、より環境に配慮した運搬が求められるものとして、石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物、水銀含有ばいじん等があります。
具体的には、廃プラスチック類、ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず、がれき類のうち、石綿をその重量の0.1%を超えて含有するものは、石綿含有産業廃棄物を含むものとして区別されます。具体例としては、建築物の外装材に使用される「スレート材」などがあります。また照明器具の蛍光灯は、蛍光灯の中に微量の水銀が含まれており、蛍光灯の素材を構成する廃プラスチック類、金属くず、ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずは、水銀使用製品産業廃棄物を含むものとして区別されます。

また、自治体(許可権者)においては、汚泥は汚泥でもアスファルトの切断に伴い生じる「カッター汚泥」については、「汚泥」の他に、「廃アルカリ」の許可品目がないとカッター汚泥は運搬できないという自治体もあったりと、自治体によって産業廃棄物に該当する許可品目が異なる場合もありますので、該当する産業廃棄物の種類に不安があるようでしたら、あらかじめ許可権者である自治体に直接問い合わせて確認することをお勧めいたします。

許可申請書作成のポイント!

許可申請書を作成するうえで最も重要なポイントの一つが、この取り扱う産業廃棄物の種類(以下「許可品目」といいます)です。ここで記載した許可品目以外の産業廃棄物は収集・運搬することができませんので、許可品目以外の産業廃棄物を運搬しなければならなくなった場合、あらかじめ「産業廃棄物処理業の事業範囲変更許可申請」を行い、変更許可を得て許可品目を追加する必要があります。手続きは「変更届」ではなく「変更許可申請」ですので、申請手数料71,000円の費用と標準処理期間約60日の時間を要することになります。従いまして許可品目については、将来的な事業計画を考慮して決めることが望ましいと考えます。

③事務所及び事業場の所在地

「事務所」については、産業廃棄物収集運搬業の事務処理を実際に行う事務所の所在地を記入いたします。具体的には、産業廃棄物処理委託契約の締結を行ったり、処理委託契約書・マニフェスト伝票の保管等を行う事務所が該当します。「事業場」については、積替・保管を行う場合の事業場の所在地を記入いたします。

④事業の用に供する施設の種類及び数量

ここの記載方法については、使用する車両の台数と運搬容器使用の有無のみの記載を求める自治体もあれば、使用する車両の台数と種類数、使用する容器の種類と個数の記載を求める自治体もあったりと、自治体によって記入すべき内容が多少異なったりします。
基本的には、使用する車両の台数と使用する容器の有無を記入します。

⑤積替え又は保管を行う場合には、…

ここは、積替・保管を行う場合の以下の内容について記入いたします。

  • 積替・保管を行う場所の所在地及び面積
  • 積替・保管を行う産業廃棄物の種類
  • 積替えのための保管量の上限
  • 積み上げることができる高さ

様式第6号 第2面

⑥既に処理業の許可(他の都道府県のものを含む。)を有している場合はその許可番号(申請中の場合には、申請年月日)

ここには、許可申請時点で既に取得している処理業の許可(収集運搬業、特管収集運搬業、処分業、特管処分業)について、許可権者である都道府県・政令市・中核市の名称と11桁の許可番号を記入いたします。産業廃棄物収集運搬業の許可は、廃棄物を収集する都道府県(荷積み地)と処分する都道府県(荷下ろし地)が異なる場合、それぞれの許可権者の許可が必要となるため、同時に複数の自治体の許可申請を行う場合が少なくありません。その場合、既に他の自治体で申請済みの場合は申請日を、申請はまだ行っていないが申請の予約日が決まっている場合は、申請予定日を記入いたします。既に有している許可件数が多く記入しきれない場合などは、別紙に作成し添付することで差し支えありません。

⑦申請者名(個人・法人)

申請者が個人である場合は、氏名(ふりがな)、生年月日、本籍、住所を記入いたします。この場合、第1面の①に記載する場合と同じように、略字等を用いずに住民票に記載されているとおりに記入いたします。申請者が法人の場合は、名称(ふりがな)、本社所在地を、略字等を用いずに履歴事項全部証明書に記載されているとおりに記入いたします。

⑧法定代理人

申請者が未成年者の場合、法定代理人の記載が必要となります。未成年者の法定代理人は、原則として親権を有する父母となりますが、例外的に父母がいない場合は家庭裁判所への請求により選任された未成年後見人が法定代理人となります。記入する内容は、法定代理人の氏名(ふりがな)、生年月日、本籍地、住所となります。
また、法定代理人が法人の場合は、法人名(ふりがな)、本社所在地に加え、法人の役員について、役員名(ふりがな)、役職、生年月日、本籍地、住所を記入いたします。

⑨役員(申請者が法人の場合)

申請者が法人の場合は、役員全員の役員名(ふりがな)、役職、生年月日、本籍地、住所を記入いたします。この場合、添付する住民票に記載された内容のとおりに記入いたします。

役員が外国人の場合

役員が外国人の場合で、住民票の氏名に英語表記と漢字表記があり、さらに通称名がある場合は、それらすべてを住民票の記載のとおりに記入いたします。ふりがなについても氏名と通称名の両方について記入いたします。本籍地については、国籍を記入いたします。

様式第6号 第3面

⑩発行済株式の総数および出資の額

申請者が法人である場合においては、「発行済株式の総数」の欄に履歴事項全部証明書に記載されている発行済株式の総数を記入し、「出資の額」の欄には履歴事項全部証明書に記載されている資本金の額を記入いたします。

⑪株主等の氏名又は名称等

申請者が法人である場合において、株主、出資者等の以下の情報を記入いたします。

○個人の場合
氏名(ふりがな)、生年月日、保有する株式の数又は出資の金額、その割合、本籍地、住所

○法人の場合
名称(ふりがな)、代表者の役職および氏名(ふりがな)、保有する株式の数又は出資の金額、その割合、本社所在地

※個人の場合は添付する住民票記載のとおりに、法人の場合は添付する履歴事項全部証明書記載のとおり、略字等は使用せずに記入します。

⑫令第6条の10に規定する使用人

申請者に廃棄物処理法第6条の10で規定する使用人を置いている場合、添付する住民票記載のとおり使用人の氏名(ふりがな)、生年月日、役職名等、本籍地、住所を記入いたします。

令第6条の10に規定する使用人とは?

令第6条の10に規定する使用人とは、廃棄物処理法施行令第6条の10に定められている使用人のことで、申請者本人や法人の役員以外で、本店・支店、または事業所等において、廃棄物処理に関する委託契約等の契約を結ぶ権限(責任)を与えられた人を置いている場合、その人のことを指します。